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離婚時に夫名義の住宅を財産分与する際、「感情」よりも「勘定」を考えよう

2016.11.16 | お知らせ

Aさん、Bさん夫婦は20年以上続いた夫婦関係を解消することを決心しました。その際、Aさん名義の住宅をどう財産分与するかという問題が浮上「感情だけでは決められない」と、相談に来ました。
Aさん名義の住宅を財産分与する際、次のケースが想定されます。
(1)Aさん名義の住宅について、離婚とともに売却する場合
Aさん名義の住宅を、離婚とともに売却する場合、売却によって得られたお金(住宅ローンがある場合には、残高を差し引いた後の手取り額)が財産分与の対象となります。
例えば、住宅を3,000万円で売却したとします。売却時点での住宅ローンの残債は2,500万円、売却にかかる諸費用が100万円だとすると、最終の手取り額は、3,000万-(2,500万+100万)=400万円。この400万円が財産分与の対象になります。
なお、夫婦で共有状態にある住宅を売却した場合は売却によって得られたお金を、一旦共有持ち分の割合で分割し、共有者それぞれの財産を確定させた上で、財産分与について対処した方がよいでしょう。
(2)Aさんが住み続け、住宅名義を持ち、住宅ローンの返済も続ける場合(Bさんが家を出る)
この場合、家を出たBさんに対して金銭などによる財産分与を行います。財産分与対象は、住宅の時価から住宅ローンの残高を差し引いた額となります。このケースでは、財産分与の対象となる金額は、3,000万-2,500万=500万円です。時価とは、通常に取引される価格として算出します。
(3)Bさんが住み続けが、住宅名義と住宅ローンの返済はAさんのままの場合(Aさんが家を出る)
この場合、Aさんとの間で賃貸借契約を交わし、BさんがAさんに家賃を払って住み続けるか、使用賃借契約によって無償で住むという方法が考えられます。ただし、この方法には問題点があります。Aさんが住宅ローンの支払い不能に陥れば、住宅に設定されている抵当権が実行され、競売にかかることになります。競売の結果、競落者からBさんは退去を迫られる危険があります。
(4)住宅名義をBさんとした上で、Bさんが住み続けるが、住宅ローン返済はAさんのままの場合
この場合、預貯金の分与や養育費といった部分での財産分与で、Aさんの負担割合を軽くするなどといった調整を図ることが考えられます。
なお、このケースでも(3)と同様、Aさんがローンの支払不能に陥った際には問題が生じる可能性があるので、注意が必要です。また、抵当権を設定している金融機関に内緒で、担保となる不動産の所有権を移転することがあれば、金融機関と取り交わしている金銭消費貸借契約上、問題視される可能性があります。
◎ 夫名義の家に住み続けるときの対処法と注意点
離婚後も夫名義のまま住宅に、妻が暮らす場合、夫との間で賃貸借契約あるいは使用貸借契約を取り交わしておくことによって、自分の権利をできる限り保全するという方法があります。一方で、夫が勝手に住宅を売却してしまったりすることも可能性として否定できません。こうした事態に対処するには、妻が所有権移転の仮登記をしておくといった方法も、一つの選択肢です。

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